2019.02.26 ファシリテーター

昔ながらの空き屋敷でマーケット「社のおにわ亭プロジェクト」

  • [業務内容]
    社のおにわ亭プロジェクト
  • [手がけた役割]
    プロジェクトファシリテーション(コンセプトデザイン・コンテンツデザイン・会議およびプロセスのファシリテーション)
  • [クライアント]
    加東市・加東市社商店連合会

日本酒の酒米山田錦の一大生産地である加東市。かつて栄えた社商店街を舞台に空き店舗や空き店舗を活用し、新旧コミュニティの交流と商店街活性をめざしたプロジェクト。

最初の訪問とヒアリング。門前町や官庁街として栄えた経緯もあることから、商店街には立派な神社仏閣や100年以上商いを続けてきた商家があるなど、趣きは充分すぎるほど残っていた。

「ここには何があります?」と聞くと、地元の商店主さんたちは神社仏閣や史跡を一通り言った後は「昔は色々あった」と回想モードに浸るばかりであった。しかし、会合に来てくれるおじいちゃんたちに悲壮感が全くなく「このまま縮小していくことを受け入れていっても良いんじゃないかな」と受け止めているように感じた。
視点をずらせば「語り部はいる」。また社商店街は加東市の中でも小高い丘で、実に夕焼けが美しかったため「ノスタルジー」とか「かつて栄えた商店街」というイメージをそのまま大切に、エピソードをちりばめたMAPを作成した。
MAPづくりで散策していた時に見つけた商家は手入れも行き届いており、商店街の数少ない若い店主の方も「こんなところ、あるんですね〜」と思わず口に漏らしたのを聞いて、「地元の若い店主さんでも新鮮なのであれば、充分に資源になるな」と感じ、この空き家を一日だけ解放して、その中でマーケットイベントを実施することにした。

単なるマーケットイベントを超えて、空き家を社商店街周辺の加東市のニューファミリー層も集えるようなコミュニティの場づくりにもなったらいいな、という想いを込めた。物販、飲食、ワークショップ、似顔絵、音楽とバラエティに富んだ内容に、売り切れも出た盛況ぶりだった。
近隣の別の空き家をお持ちの大家さんも覗きにきて「うちも昔は米問屋だった空き家があって、造りも豪華だから、みにきてほしい!」と連れて行かれる展開になり、次の会場となった。
大家さんの想いを商店街が引き継ぐ形でパブリックに開く場づくりをめざし、2回目以降、マーケットの開催を通して、休眠状態だった旧家が少しずつ開かれていっている。
現在では、ナイトマーケットや新たな場所の発掘。常時活用していこうとする協議会の立ち上げに変化していっている。